引き続き、学生さんと井上嘉浩さんの弁護人として有名な神山弁護士のご意見です。
そして住民運動をされている方からの質問です。
書き起こしは今回で以上になりますが、序盤の被害者の方の映像をなんとかして明瞭に起こしたいです。
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そして住民運動をされている方からの質問です。
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Kさん:
ご紹介預かりました、Kともうします。僕みたいな学生が発言していいのかちょっとわからないんですけど、僕なりに、学生目線から、思ったことを発言しようと思います。
僕たち大学三年生はおそらく、この地下鉄サリン事件が発生した時に生まれて、事件とともに年をとっていく世代で・・・と、ある意味、感じるんですね。僕も、個人的に気になってこういった事件を調べていて。
大学で、周りの友達とかに聞いてみると、やっぱり「知らない」と。「オウムとは何か」と。
僕は、個人的に個別指導塾で、塾講師をやっていて、小学生の生徒たちに聞くとやっぱり「知らない」と。「オウムって何」って、同じような回答が・・・それはまぁ、小学生の方がもっと知らないんですけども。
僕たちの世代はどういう世代かなあって考えた時に、やっぱりこう、バブル崩壊後に生まれて・・・基本的に未来は明るくないだろうっていう、悟った姿勢がありますし(笑)何かに打ち込むことも、ちょっとダサいかな・・・って。
基本的にそういった中で、「熱くない」。そういった、なんか、夏報道されていたようなシールズのような若者の運動が、「あれは、若者の象徴だ」って言ってた報道もある一方で、基本的に若者はあれを、冷ややかに見る姿勢が、それが若者の明示する意味じゃないか、って僕は感じてるんですね。
そういった中で、オウムの事件が起きたみたいに社会のエリートの若者が、オウムの教団に入って、衣食住すべて、コントロールされた中で、破壊的カルトに進んで行くような動きは、起きるのかなって僕の中で考えた時に、一見、起きないだろう、ってまぁ僕たちの世代の中から、何かに熱くやるってことはないのかな、っていう一方で、「ひかりの輪」とか、そういった後継団体の入信者は増えてるわけで。
そういったことを考えると、やっぱり、今の世代っていうのはきっかけがすごく見えづらくなってるのかな、って思います。当時よりもかなり、そういった意味では危ないのかな、ってことを感じてます。
僕も親に、「オウムって大丈夫なの?」って幼い頃に聞いてみたりしたんですけど、「オウムは公安が見てるから大丈夫」っていう通り一辺倒な答えで、ほんとにそんなんで大丈夫なのかなって、感じたんですけど(笑)まぁもちろん大丈夫じゃないんですけど、僕たち若い人はそういった、なんか「熱いモノ」を排除したり・・・何かに取り組むことがダサいっていうムードがあるからこそ、そういったことに心を寄せる人が言えなかったり、オウムの後継団体がそういうものをこう、示してくれると、そういったとこにするするーっと行っちゃうのかな、って、そういった動きが・・・なんていうんですかね、進んでるというか、視野が狭くなってるんじゃないかなって、僕は個人的に思います。
やっぱそういった中で、これは、一般的な意見じゃないんですけど、家族とか、そういったもののつながりが大事なんじゃないかなっていう風に、感じました。
次にですね、僕らが育ってきた世代っていうのは、やっぱり凶悪な事件っていうのがたくさんあった中で、僕は個人的に、彼らには彼らの論理があるって思うんですね。ワイドショーとかで言うところの、いわゆる、「心の闇」とかそういう風なものなのかもしれないですけれど、まあ、犯罪者ってのは生まれた時から、犯罪者として生まれたわけではないですし、オウムもオウムとして生まれてきたのではないと思うんです。
オウムは、いつから犯罪者になったのかっていう、そういうことを細かく紐解いていくような作業が、やっぱりすごい大事で、こうやって僕も生きてても、いつそっち側に転がるか・・・それは無いと思うんですけども、何かのきっかけで転がることっていうのは、皆、一様に、あると思うんですね。「ある」ってしていた方が、僕はいいと思うんですね。
僕たちの世代的には、そういう風に転がるものの動きを、基本的に排除しようっていう動きが、やっぱりある中で、そこはすごい危ないんじゃないかっていう、考え方ができると、僕は思います。
江川さんが先ほどおっしゃっていたように、オウムっていうのはすごくいい教科書のようなもので、僕たち若い人っていうのはほんとに、オウムって教科書の一単語でしかないんですね。「地下鉄サリン事件があった」って。じゃあ何があったか、って、何が起きたかって、どうったのか、被害者がどう苦しんでるか、死刑囚はどうなってるか、例えばこういった講演会に行かないと、本当にわからないことで、そういった意見を若者に向けて、発信してほしいなということも感じました。以上です。(拍手)
武井弁護士「ありがとうございました。それではもう一人、神山啓史弁護士・・・信者の弁護も担当されていた、神山さん、お願いできますか。」
神山弁護士:
弁護士の神山です。わたしはですね、井上嘉浩くんの国選弁護人を務めました。
そういう意味では、今日本当に、いろんなことを聞かせてもらって、改めて事件の大きさを感じたところです。
わたし自身は、どんな事件でも死刑は廃止すべきだと思っていますし、井上くんの弁護をした立場からいえば、先ほどから出ているように、麻原さん以下の信者とはですね、本当に麻原さんを信じてマインドコントロールされた中で、犯罪を犯してしまったわけですから、今、本当に悔いているとすればですね、それを死刑にする必要があるのか、その思いを・・・・裁判のためにも弁論で述べた通りです。
今日、話を聞いていて、やっぱり絶対にやってほしいなあと思う、やり残してきたなあと思うのは、カルトに引っかかってしまって、カルトの中で、なぜあんな風になってしまったのか、で、なぜ、助けることができなかったか、なぜ、あんな大きな犯罪に手を染めてしまったか。それがなかなか・・・なぜ解けなかったのか、そういったことについて、本当にもっとよくよくですね、本人に話を聞いて、あるいは、専門家がインタビュー等をしてですね、もっともっと解明すべきであるし、解明することが必要なんだなあと思います。
そうしないと、せっかくの、裁判・・・というとおかしいですけども、彼らがやったことが、日本の歴史の中で埋もれてしまう。非常に残念なことで。
今、カルトにとらわれてしまうことをなくすために、何を考えなきゃいけないのかという、一番いい材料があるということですから。もっともっと、やっておくべきだったと思うし、やらなきゃいけないんだと。
それを考えた時に、先ほどから言われている刑事裁判はやっぱり限界があると思います。所詮は証拠に基づいて事実を認定するというレベルのものですから、ともかくすると、先ほどお話があったように、今ですね、やっぱりあの、死刑囚の人たちにですね、多くの人が面接をできるようにすると、あるいは、研究の対象としてインタビューを試みるとかですね、そういうことをやって、彼らがやったことをですね、後世の材料になるようにですね、作っていかなきゃならないと、そういう仕事をやらなきゃならないなと思います。
高橋シズヱさんにも反対尋問しましたし、滝本さんも反対尋問しましたし、西田さんも反対尋問した弁護士としてはですね、やっぱり我々が法廷でやっただけではダメだったんだなあと。もっともっとやっぱり、やり残したことがあるんだなあということを、今日改めて感じましたし、もし、この会の中でですね、「やり残したことがあるね!やっていこうね!」ってことになるのであれば、非常に、いいことだなあと思って聞いております。ありがとうございます。(拍手)
武井弁護士「ありがとうございます。それでは、ここでご質問を受けたいと思います。限られた時間ですが、ご質問ある方は、挙手をお願いいたします。」
質問者:
腰が痛いもんで、座らせてもらいます、すみません。
今日は非常に、有効なお話ありがとうございます。実は私ども、足立区にオウムの信者たちが大勢いますんで、それに対して反対運動をしてます、xx会のA(仮名)と申します。
わたしたちは今までの話を聞いた限りだと、裁判の、死刑の反対っていうお話に反するような・・・わたしたちは、あの人たちに対して、非常に不安を持っております。この不安は、あれから20年(ママ)ってことで、あのー、あの人の、松本智津夫の子供達が成長してるでしょうから、その、成長の過程というか、さらに、心配になるようなことが起きるのか、そこいらの話は全然出ませんので、今日は・・・こうやって、聞かせてもらっても、その不安はとれません。
その不安をとってくれるのは、どなたかわかりませんけども、わたしたちは、活動を、まもなく6年にわたるんですけども、その恐怖と不安をとってもらうのはどなたなんですか。・・・っていう、聞きたいんですね。
死刑廃止のことも、当然、治安のいい日本ですから、そういう話は結構ですけど、現実に、迫ったような不安を抱いてる地域の方も目を注いでいただきたいんです。
なかなかあの、わたしらも、素人でお話は、下手なんですけど、切実に感じているもんで、質問させていただきました。どなたか・・・適切じゃなくても結構ですから、ためになるようなお話を、してください。
武井弁護士「ありがとうございます。なかなか難しい質問ですが・・・宗教関係の、藤田さん、いかがでしょうか。」
藤田氏:
まずは自分たちですよね。誰かが言うわけじゃないですよ。って僕は思いますが。
彼らを理解するってことは、何も同情するとか立場を・・・とかそういう意味じゃないですよ。彼らがどういう考え方をしてて、どういう動き方をするんだっていうのは、まずは自分らで知っていかないと。誰かがやってくれるっていうのは、そんな・・・ちょろい案件じゃないと、僕は思っています。
その次において、行政とかなんかにきっちり働いてもらうと。
だけど行政に働きかけてどれだけご苦労したかは、家族の会の方たちに、交流があると思うので、お聞きになっていただければと思いますけども。「アテにならない」って言われてますよね。だけどあの事件のあとに比べれば、それなりに変わってる。
だけど何よりも、自分たちで調べていく以外、対策やっていく以外ないんじゃないですか。
僕はそう思いますが。
その上で、行政かなんかに対して、説得力が初めて出てくると思いますけれども。
非常に冷たい言い方で申し訳ありませんが、まずはそういうことです。
武井弁護士「ありがとうございます。それではもう一人、江川さんもこういう問題に関わってきたと思うので、お願いします。」
江川氏:
はい、あのー、確かに今おっしゃったように、地域でどうするかという問題はあるんですけども、もう一つは団体規制法の対象になっていて、監察が行われてるってことが、みなさんにとっては、まあ結構、心狭い(?)みたいのがあると思うんですね。やっぱり後方的にそれを観察するってことは、とても大事で、ただ、団体規制法って結構、期限があったりするもんですから、だんだん、みんなの関心が薄らいでいくと、もうこの辺でいいんじゃないかっていう・・・そういう風になりかねないこともあるんで、やっぱりオウムの問題を考える機会をできるだけ持ってですね、団体規制の対象にしていって、彼らをみていくと。
例えばですね、麻原の死刑が執行されたりするとどうなるのか、遺体が家族のところに戻されるわけですね、で、その中で、火葬されてですね、一番可能性あると思うのはですね、彼らは骨を売るんじゃないかって。一粒いくらで売って、金儲けの道具にして、それでまたお金いっぱいもうけてですね、なんかいろいろやろうとする可能性だって、ある・・・ということを念頭において、これはきちんとみていく、ウォッチしていかなければならないっていうことを、言っていくことも、改めてお話伺って、大事かなあって思いました。ありがとうございました。
武井弁護士「ありがとうございました。時間になりましたので、以上にさせていただきます。」
閉会の辞については録音していません。
書き起こしは以上です。
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