2015年6月1日月曜日

2015年 高橋克也公判 2/17 林(現姓:小池)泰男証人出廷 地下鉄サリン事件

泰男さんの声は、一年前の平田信さんの公判の時にはじめて聴きましたが、その時は風邪で声がすごくかすれていて、気の毒だった思い出があります。



泰男さん入廷。克也さん、ちょっと驚いたような表情をしている。
ご自分でも言っていたけど、逮捕された当時より外見がかなり変わった模様。
当時の記憶を喚起しながら、一生懸命答えている印象。





【検察尋問】


証人は、いつごろオウム真理教に入信しましたか
「昭和63年の…末頃です」

所属は?
「……あー、所属はいくつかかわりましたけど、最終的に科学技術省です」

出家はいつですか
「えー、平成7年の春頃です、うん、あ、ごめんなさい6年です」

最終的な地位は?
「最終的に次官でした」

高橋克也さんと最初に会ったのはいつ頃ですか?
「ーーー…ん…と、まだ私が信徒のころだったかと思います。」

証人にとって高橋さんはどのような存在ですか?
「ーーま同じ、出家信者仲間というか」

高橋さんが教団内で何をやっていたかご存知ですか?
「えー…すべてではありませんが…えー…ま車両省というとこにいてー…車関係の仕事をしていました」
「その他には、諜報省というとこにいて、井上くんの部下だった」


地下鉄サリン事件についてお聞きします。
あなたはどういう役割でしたか?
「私は、実行役です、えと、サリンをまいた役です」

ほかの実行役は?
「林郁夫さん、豊田亨さん、広瀬健一さん、横山真人さんです」

サリンをまくきっかけは何だったのでしょうか?
「村井から指示を出されたことです」

それはいつですか?
「平成7年の3月18日未明頃です」

どこでの話ですか?
「第六サティアンの村井の個室です」

そこには誰が集まりましたか?
「村井と私の他に、林郁夫さん、広瀬さん、横山さんです」

村井は何といいましたか?
「これは、マハームドラーだからね」
他には?
「…そうですねー…あのー……強制捜査が入るかもしれない…妨害のため、という説明があったかと思います」

サリンを隠語にした言葉を知っていますか?
「ありました、えーと、サッちゃんとか、サリーちゃんとか、あるいは魔法とか」

そのとき実行犯は誰だと言われましたか?
「村井の部屋に来た、林郁夫さん、広瀬さん、横山さん以外に豊田です」

サリンはどのようなものだと認識していましたか?
「戦争に使われる化学兵器だと認識していました」

そのような知識をどこで得たのですか?
「…どういう経緯かわかんないけども」

強制捜査のキッカケは何だと思っていましたか?
「假谷さんの事件がキッカケかなと、あの事件以来、いつ入ってもおかしくないと」

村井が、サリンをまいてもらうと指示した時、集まっていたメンバーはどんな様子でしたか?
「返事を誰もしませんでした」
「そこで村井が一人ずつ確認しました、みんな引き受けました」

なぜ承認したのですか?
「……一言で言うと、『断るとヤバイ』と感じたからです」

<強めに「断るとヤバイ」と言いました。>


その後、その場でどういう話がされましたか?
「どのような服装でやろうかとか、サラリーマン風にしようと、犯行時間は8時、あと路線を、日比谷線、丸ノ内線、千代田線…と」

その時点でサリンはあったのでしょうか?
「サリンはまだ作っていないので、これから村井が作る、と聞きました」
「だいたい一人200cc、という話がありました」
「容器の担当は、広瀬と横山が決めると」


その話し合いの後、どうしましたか?
「…確かな記憶じゃありませんが、30分くらい、その後?休んでました」

どこでですか?
「自室です、同じ、村井の部屋と同じフロアにある部屋です」
「第6サティアン3Fです」

この見取り図で示して下さい。
「ここです」

その後どうなりましたか?
「昼過ぎ頃、井上がやってきました」

井上はどんな様子でしたか?
「うーーーーん…………その、サリンをまく計画をもう聞いたかどうか聞かれて、計画についての話し合いがありました」
「運転手が必要であるということで、車の用意とか、運転手の用意をしなきゃならないと」
「運転手として、平田信、T、杉本繁郎の名前が上がりました」

それで、証人はどうしましたか?
「平田とTは不適切であると言いました」

そうしたら井上はなにか言いましたか?
「反対するなら他に誰か提案しろ、と言いました」

証人はどうしましたか?
「だまってました」


サリンのまき方についての話し合いはありましたか?
「いろいろあったけどあまり記憶になくて、ひとつだけ、浣腸器を使ったらいいんじゃないか、という話が出て、200ccも入るような大きな浣腸器?があるか、林郁夫さんに尋ねに行きました」
「ない、と言われ、郁夫さんの方から、点滴に使う袋はどうかと提案されました」
「井上くんが、『それは自分にかかってしまうから、ダメ!』と言ってました」

それからどうなりましたか?
「村井の部屋に、井上くんから、そこで話し合われた内容を伝えに行きました」
「3月18日午後です」

村井の部屋には誰かいましたか?
「広瀬くんと横山くんがいて、村井と三人で話し合いをしていました」
「それで、部屋に入るのを躊躇しました」
そのときの状況は?
「つまり、(私は)井上くんが郁夫サンの部屋からやってきて、村井の部屋に入ったので後についてったという形です」

井上は、どうしましたか?
「東京の地図を出して、村井が広瀬たちと話しをしていたら、『そんな地図じゃだめだよ』って言いながら入っていきました」

その場で、担当路線についての話はありましたか?
「あった、と、思います」
具体的には?
「んーーーー…………今ちょっと、思い出せません」
xxの時はでてましたか?(メモれず)
「はいはい、その時にも、話は出てます」

なぜ、まく時間が午前8時なのですか?
「あまりハッキリした記憶じゃないんだけど、目標は、警視庁だから、その人たちの出勤時間に合わせてということだったと思います」

なぜ一斉にまくのですか?
「それは、あのー、時間がバラバラだと、電車が停まって、他の人達が犯行できないから、と、おそらく井上くんが、言いました」

場所はどのように決まったのですか?
「警視庁に近い出口ということで、霞ヶ関駅に」

それからどうなりましたか?
「井上くんから村井に、運転手が必要であるという話がありました」
「村井は、もう全然そういうことは考えてなくて、『なんで必要なの?』と、一応、井上が、電車が止まったら返ってこれなくなるから、と言ったら、村井は納得して『麻原に尋ねる』と言って出て行きました」

その話し合いの時間はどれくらいですか?
「10〜15分の話し合いだったとおもいます」


その後、どうしましたか?
「井上と食事に行きました」

その途中で何か話しましたか?
「んーーーー、ま、ココスの行き帰りか中か分からないんだけど、サリンをまく計画の話がありました」
「井上から、準備が出来たら今川の家にくるようにと」
「今川の家の場所は平田信が知ってる、カツラを試す様に、とも」

『準備が出来たら』とは何の準備ですか?
「広瀬くんと横山くんがやっていた、サリンの容器の選定が終わったらという意味です」

この事件を起こす目的は知っていましたか?
「強制捜査の矛先をそらす話を、井上からきいていた」

きっかけはわかりますか?
「教団施設でサリンが検出されたと」

容器の検討は結局どうなりましたか?
「終わりませんでした」
「夜中に彼らの部屋を見にいって、状況を確認しています」

彼らとは?
「広瀬くん、横山くんと、あるいは豊田くんもいたこともありました」

彼らとの会話は?
「んー…何らかの話しをしたと思うんですけど、覚えてないです」


東京へ向かったのはいつですか?
「じゅう、きゅう、日の……朝です」
「村井から連絡があって、容器のことはもういいからって」

誰と東京へ向かいましたか
「豊田くん広瀬くん横山くん…運転手として平田、T、杉本、です」

東京へゆく目的は?
「ま、買い物や、下見のため」

どうやって?
「車二台で行きました」

運転手の平田、T、杉本へは、何の目的の買い物か伝えなかったのですか?
「特に言いませんでした、何をするのか」

そもそも今川の家に行ったらどうなる予定でしたか?
「井上が待ってるということです」
「待てど暮らせど来なかったんでー…自分たちが出来ることは、やろうとなってー…」
「サラリーマン風のスタイルで犯行をするようにということだったので…」
「私達は、坊主といっても、まスポーツ刈りみたいなもんですけど」
「ま一人だけ、横山だけ(今川の家にある)その中のカツラを使うということになって、それ以外の人は買う事になりました」


その時点での実行役と運転手ペアはどうなっていましたか?
「私と平田 …杉本広瀬、横山(と)T、です」

なぜそのペアに?
「私は、当時仲の良かった平田と一緒になりたかった、その他の人は適当に決めました」

その話し合いの中心というのは誰ですか?
「話の中心は私です」

下見に行ったのは誰ですか?
「下見に行ったのは、横山と広瀬と杉本とTです」

証人はブラブラしてたということですが?
「言い訳のためにジュースの容器を買いました」

言い訳とは?
「下見に行かないため…容器のことを検討してたと言う風に見せるためです」

誰とブラブラしてたのでしょうか?
「平 田 と 二 人 で す」(即答、強調)


それからどうしましたか?
「今川の家に戻りました」
「下見組はすでに戻っていました」
「スーツのズボンの裾上げとかやりながら、井上を待っていました」


証人はどこに居ましたか?
「コタツの部屋にいました」

それから?
「井上がドタドタドタッと帰って来てー、コタツの部屋に入ってきてー、サリンの計画の話がありました」

それは何時ごろですか?
「3月19日午後6時から7時の間です」

誰が話し合いに居ましたか?
「実行役の4人と、運転手役は覚えていません」

何の話がありましたか?
「井上くんが『運転手役が変った』と」
「平田とTが外れて…新實、外崎………あともう一人居たんだけど………あと高橋克也さん…えー…」
「今ちょっとど忘れ…」

北村さん?
「はいそーです!北村くんです」


それからどうなりましたか?
「渋谷へ向かうことになりました」
「場所は高橋さんが知っていると、井上くんが」

運転手について、井上は話し合いでペアを発表しましたか?
「いいえ」

証人はどこでペアを知ったのですか?
「あたしが個人的に井上に運転手………あ…もっかい言い直します……ペアは、ペアは誰か言わなかったのでー……私のペアは誰かと井上に聞きました、杉本だ、と言われました」

そのペアは誰が決めたんでしょうか?
「麻原だ、と言われました」

それはどこで会話したのですか?
「コタツの前です」

その場に被告人はいましたか?
「被告人はいませんでした」


その後どうなりましたか?
「井上に誘われて、島田(裕巳)邸爆弾事件へ…」

運転手を外れた人にはどうしましたか?
「上九に帰っていいよといいました」

三人ともに言いましたか?
「平田に言ったのは、ハッキリ覚えています」

それはどこで?
「ま、コタツの部屋じゃないかと」


爆弾事件へ行くとき、井上はどのような口調でしたか?
「かなり軽い口調で、『よかったらちょっと来ない?』と」

証人は爆弾だと知らずについていったのですか?
「ハイ」
「爆弾ってことも知らず、ついこないだまでガソリンだと思ってました」


その後どうしましたか?
「渋谷へ移動しました」
「杉本と二人で、私の車で」

他の車には誰が居ましたか?
「広瀬くん、横山くん、豊田くん、と、高橋さんがいたかと」

高橋さんはいつ合流したのですか?
「うーーーーーーーーーーーん………………今川から、渋谷まで案内してくれたので、その時は、いたかと」

渋谷のマンションはどこでしたか?
「NHKのすぐ近くでした、渋谷ホームズです」
「そこで新實、北村、外崎とバッタリ合流しました」

渋谷ホームズについて何をしましたか?
「ズボンの裾上げや、入浴をしたり」

渋谷ホームズの鍵はどうなっていましたか?
「オートロックでした」

どうやって入ったのですか?
「そのときには、たしか高橋さんが鍵を持っていて開けてくれたんだと思います」

部屋には誰がいましたか?
「広瀬くん、横山くん、豊田くん、杉本くん、新實、北村くん、外崎くん、高橋さん」

それからどうなりましたか?
「えーと、…郁夫さん、と井上がやってきました、別々にですけど」

そのときの井上はどんな状態でしたか?
「大変興奮してるような、喜んでる様な状態でした」

証人はその井上に何か声をかけましたか?
「ーーーんーーー…いったんです、けど、ちょっと思い出せません」

井上から改めて指示があったんですか?
「ハイ」

何という指示ですか?
「んー…具体的にはあまり覚えてないですが、『ちょっとみんなきいて』みたいな感じでー…」
「『自分の担当だけ覚えていればいいからね』と言ってました」
「路線、乗車駅、降車駅などの話しが…あと、1000cc増えた?とも、1Lといったかも」

どこで話がされたのですか?
「リビングルームっていうんでしょうか、一番広い部屋です」

間取りを言っていただけませんか?
「そのリビングと、4〜6畳の小部屋があって…あとはキッチンと、あのー…トイレです」

このような間取りですか?
「ハイそうです」

<…と検察は間取り図を見せ、OHPにうつる。>


どのような体制で話をしていましたか?
「体制ですか?まわりに集まりました」

被告人の位置はわかりますか?
「高橋さんの位置はわかりません」

井上さんはどのような体制でしたか?
「んーと、立ってました」

他の人は?
「私達は、座ってました」

新實さんの体制はどうでしたか?
「記憶にないです」
「んーと、まず私をふくめた実行役、その他の人たちも座っていました」

立ってた人もいない?
「どちらかといえば、いなかったかと」


井上の話はどのようなものでしたか?
「誰それは、どこどこ線で、どこで乗車して、どこで降りるとか」

ペアの指示もした?
「ハイ」

どのような?
「えっと………すいません、今すぐ出てこないです」

被告人のペアは?
「高橋さんは?広瀬くん?じゃないかなー……………あ、すいません、広瀬くんは北村くんでした、……あー今思い出しました、豊田くんと高橋くんがペアでした、あとは新實と郁夫さん、で残りが横山くんと外崎さん、ハイ」

サリンの量が増えたのですか?
「はい、1000ccが一人の持つ量です」

そのとき井上は「サリン」と言いましたか?
「いえ記憶にないです」

その後井上はどんな指示をしましたか?
「車をとりにいくように、下見にいくように、と」
「それから、井上が私に対して個人的に、今からサリンをとりにいく、そういう趣旨のことを、言葉として『サリン』とは使ってないけども」

井上の口調はどうでしたか?
「話はわりかし早口で…」
「…まだ…他の指示もあったと思うんですけど……車両の位置で、ドアの通路わきに立つ様に、と言っていたような…」

そのとき「サリン」という言葉は使っていましたか?
「えーっとねー…言ったかな?全体に対しては、その話はなかったように思います。郁夫さんは初めてだったので、地図を見せながら、井上とマンツーマンで話しをしていました」

「サリン」という言葉を使わずに話は通じるのですか?
「言わずもがな、なことだったのでー…」
「連絡先の話もありました」


それからどうなりましたか?
「下見へ行きました」
「あ、その前に車をとりに行きました、私と克也さんと…あと二人…杉本、と、外崎で、車を貸してくれるという信徒さんの家へ行きました」
「高橋さんが案内してくれました、高橋さんが信徒さんと応対もしていました」

集まった車の車種は?
「えーベンツ、グロリア、エスティマ…」
「のこり二台は…一台は東京から持って来た一台、もう一台は中村昇が使用していなギャラン」(東京じゃなくて上九の言い間違いだと思われる)


その間村井から電話はありましたか?
「二度ありました」
「上九へ戻ってこい、実行役全員だと」
「正確には三回電話あったんですけど…」
「あのー、電話では、あまりハッキリしたことを言いませんでした」

電話の内容は誰かに話しましたか?
「一回めは井上だけに、二〜三回めは新實と杉本に、どうしようかと相談しました」
「一回めの電話はサリンとりに来てくれという電話で、二回めは井上がとりに言っているといいました、三回めは午前1時すぎで、有無なくもどってこいという電話でした」

そのとき「サリン」という言葉を使いましたか?
「いいえ」

被告人が何をしていたか分かりますか?
「いいえ何も覚えていません」

部屋に居ましたか?
「いたという記憶はなかった…ない」


それからどうなりましたか?
「第7サティアンに着きました」
「1階の中央に、小部屋が、そこにあったので、大きさは8〜10畳、がらんとうの部屋です」
「そこでまく練習をしました」
「ビニール袋の中に液体が入っていました」
「一番はじめに、横山さんが剥き出しのまま、やって、ドバッと、中の液体が出て来て、その後新聞紙で包んだほうがいいなとなりました」

他にはなにがありましたか?
「こまごまとした指示がありました」
「新聞は、地方紙でなく…大手メディアの新聞を使えとか、あとは、傘の先端を水で、洗う様にと」

村井は何と言っていましたか?
「宗教弾圧だ、と言っていました」

井上は何と言っていましたか?
「『傘に自分(井上)の指紋がついてるので、必ず持って帰る様に』と」
「あとなるべくガスを吸い込まないように、息を止める様に、と」
「麻原から村井に言われたことで、『川口インターを使うな』と」

その後どうなりましたか?
「サリンが到着しました」
「『これは合計で11袋あって、だれか持ってくれないか』と言われました」

結局どうなりましたか?
「結果的には、私が引き受けました」

サリンを見て、どう思いましたか?
「もともと…あのー……不完全なものと、色を見て、そういう思いを強めました」
「量が増えたとき、あやっぱりちゃんと出来なかったのかな、と」


その後どうなりましたか?
「渋谷に行きました」

それは何時ごろですか?
「朝の5時か6時頃です」

それからどうしましたか?
「コンビニに買い物に行きました」
「紙袋や、ビニールテープ、ゴミ袋とか、手袋も」

杉本はどうしてましたか?
「疲れた様子で、車の中で休んでいました」

それからどうしましたか?
「服に着替えて…豊田が持ち込んだサリンを、分配して、郁夫さんから注射をもらいました」


サリンの袋を、どのように受け取ったんですか?
「えー…それぞれの実行役がとりに行って、受け取った…?」
「あー…正確な記憶じゃないけど、豊田くんが『みんなとりに来て』と言った…?」

そのときに「サリン」と言いましたか?
「そのときにですか!?覚えていません」(そんな細かいこと覚えてない・・・という感じで)

他に、サリンを見に行った人などはいませんでしたか?
「どうなんでしょう?記憶にありません」

袋がひとつ破れていましたね?
「『袋から漏れてる、これはちょっと危ないんじゃないの?』と言った人がいました」

誰が言ったんでしょうか?
「記憶にありません」

証人はその袋を受け取りましたか?
「ぇぅ、私が受け取って、持って確認しました」

それはなぜ証人が受け取ったのですか?
「えーーーと…………んーま、特に覚えてないんだけど、みんながすごくいやがってたから、自分が引き受けました」

郁夫さんと井上さんが話しているところで、「サリン」という言葉はありましたか?
「覚えていません」


その後どうしましたか?
「出発しました」
「えー、7時、前後です、もう少し早い可能性もあります」
「エスティマに乗りました」
「はさみと新聞紙を杉本に買ってもらいました」
「サリンを車の中でくるみました」
「上野駅に向かって、杉本と別れました」

そこで証人は何か杉本にいいましたか?
「杉本の方から、犯行後、合流する時に、私が出て来なかったら、どのくらいいの時間待ってればいいですかね?と聞かれたので、10分から15分、と伝えました」
「郁夫さんからの注射器を見せて、『具合が悪くなってたら打ってね』って、言いました」
「駅を出て、街を歩いて、駅にもどってきて、電車へのりました」
「霞ヶ関を通る、電車です」

それは何時ごろですか?
「8時数分前です…大変混んでました」
「秋葉原駅に到着する寸前に、紙袋からサリンを出し、傘で刺しました、3〜4回です、それから電車を降りました」


<たんたんと、無感情なようににすらすらと話す泰男さん。浅川幸子さんの兄がじっと見つめている。>


その後どうしましたか?
「杉本の車へ乗りました」
「傘を水で洗いました」
「途中で…異臭がしてきたので、窓を開けました」
「渋谷ホームズの部屋番号を忘れてしまってて、そのうち高橋さんと豊田くんが帰って来て、高橋さんが部屋番号を覚えていて、マンションの中へ入りました」

マンションの部屋で横になっていた人を覚えていますか?
「横になってた人…覚えてません」
「郁夫さんが来て、様子を見たりしてたかな、私は注射を断っていました」
「でも郁夫さんが、瞳孔を覗き込んで、ダメだ、と、何回も、注射を打ちました」

それから、誰か帰って来ましたか?
「…………かなり遅れて、広瀬が帰って来ました」
「具合が悪そうでした」

その後どうなりましたか?
「その後、えっと、それ以前から井上が、ポータブルTVで、ニュース…TVをずっと見てたんですけど、私たちがやったことが流れたと、言ったので、(私は)起き上がってTVを見ました」
「成功したとみんなで喜んでました」

その後どうしましたか?
「その部屋を出て行く準備をしました」
「様々な品を証拠隠滅しにいこうと、傘や着ていたスーツ、カツラ、くつ、そういったものです」
「焼却することになりました」
「場所は、多摩川…立川、日野橋の河川敷」

誰と行ったのですか?
「私、井上、新實、杉本、Iさん・・・Iくんは普段から井上の運転手やっていて同行しました」

他のメンバーはどうしましたか?
「郁夫さんはAHIに行くと言ってて、それ以外は上九へ向かいました」

そのとき何か会話はありましたか?
「出発したか…建物を出た頃?新實が『これで強制捜査は一ヶ月延びるかなぁ?』と言ったので私が『一週間がいいとこじゃないの』と言いました」


それからどうしましたか?
「食事に行ってから上九へ向かいました」

そのときのエピソードは何かありますか?
「…行く、少し前に、私達のしたことで、死者が出たとニュースがありまして…………そのー………ファミリーレストランみたいな所だったかな、死者が出たというニュースが、それで、井上と新實とが………まぁ何ていうんですかね………非常に喜んでた、はしゃぎ出したんです」
「私は、怒りました、嗜めました…いいかげんにしろ、と…」
「その後、井上とI(井上の運転手)は東京に残りました」
「私と杉本と新實は上九へ行きました」

それからどうしましたか?
「麻原の所へ、行きました」

それでどうしましたか?
「とりあえず、事件の報告をしました」

それから、どうなりましたか?
「麻原は『よくやったね』とおはぎとかジュースをくれて、一人ずつ受け取りました」
「あとマントラを唱えて…ぇー…グルと………真理勝者と…シヴァ神に、ポアされてよかったね、とかそんなんと思いますけど、それを何万回、か?となえるようにと言われました」


ニュースを聞いて、被害の状況を聞いて、どう思いましたか?
「………………まー…驚いたというか………うーーーーん……………結果については…………かなり未知数でした」

実際にどうなると思っていたのですか?
「つくときに、これでどうなるという考えは…おそらくしてなかったと思います」

人が死ぬとは?
「全体を通してずっとですが、そういう思考能力がとんでたと思います」
「それは元々の、サリンの意味合いで、特に、あの時点の村井が作るものと同質と思わなかったのです」

証人は松本サリン事件を知っていましたか?
「ハイ、関わっています、噴霧車を作ったのが私です」
「松本のサリンと同じ条件(で作られたもの)と思っていなかったです」

不完全なもの、と思っていたのですか?
「その時点では、松本サリン事件のサリン、これが完成形であり、一日足らずで作ったものは、そこまでいかないと思っていました」
「量が増えたと言われた段階で…濃度を濃くして、一人200ccと言っていると思ったので、それではじめて本来の殺傷能力が得られると思っていました」


<はじめは一人200ccと言われていたけど、渋谷に来た井上の話で一人1000ccに増えたよ、と言われたので、薄まってる=濃縮出来なかったんだ=殺傷能力ないんじゃない?と思ったということです>


人の生命を奪うと思っていませんでしたか?
「いいえ…未知数でした

証人は杉本に、具合が悪くなったら注射を打ってくれと頼んでいましたよね?
そうではないんです」(強めに、そういう意味じゃない、というかんじで)

傘を水で洗ったり、ゴミ袋に入れたりしていましたが、それは?
「言われていたからやっただけです」

証人はサリン製造に関わっていましたか?
「サリンプラント作りには少し関わっています」

松本サリン事件のサリンはどのように作られたと?
「はぁ…それは……ハッキリ、分かっていません」

地下鉄サリン事件のサリンはどのように作られた?
「村井が自分で作ると言ってました」

<泰男さんは、松本で見たサリンと、地下鉄サリン事件で使われたサリンは、松本の方が透明で、純度が高いように思っていた。地下鉄で自分たちがまこうとしているサリンは、いつも失敗をする村井が作るものだから、松本のときとまく条件も違うし、殺傷能力があるのか疑問だった。>


「松本サリン事件と地下鉄サリン事件のサリンの違いは、あると」
「サリンは高温に加熱しなければならないと言われていたから」


<休憩>





【弁護人尋問】


証人へ質問します。
この状況で、精神的圧迫感を感じ、証言し辛いことはありませんか?


「んーーー………まぁ、………特に、強い思いではないですけども、以前は、パーテーションとか、このような大勢の警備とか、無く、不本意、というか、そういう思いはあります」


圧迫感が、ありますか?
「圧迫感があります」


このパーテーションを、外して欲しいですか?
「できることなら」


裁判長、死刑囚の心情の安定という理由でパーテーションを設けられていますが、証人は精神的圧迫感を感じています、これでは正しい証言も得られません。


裁判長「外しません」


<何だったんだ…>

弁護人「では林さんについてお聞きします」


出家したのはいつですか?
「昭和63年…あー、入信したのは、あ出家したのは二、三年前です」
「20代後半でした」

なぜ入信したのですか?
「…自分の生い立ちのことや…いろんなことがあって…ま最後にはやはり、解脱とか悟りとかに興味があったということです」

詳しい入信の経緯は?
「…ま、私の、国籍が変ったのが中学…あ違う、小さい頃で、それを知ったのが中学生で…そういうキッカケがあって、人の………差別心というんですかねー…ま、私の中にある、そういうのがすごく、納得できなくなって…」
「オウムに入ったキッカケは、体調悪くなってヨガ教室を探して、麻原にめぐりあっちゃったんだけども」


克也さんとの関係は?
「ま同じ出家仲間として…修行をずっと続けてました」

ワークや班で同じになることは?
「ありませんでした」

克也さんとのエピソードは何かありますか?
「あーそれは……えっと………私が横浜支部にいたときに、彼のご両親に会いにいった事があります、克也さんの依頼で、名目は入信案内でしたが、ご両親の安否を調べるのが目的でした」

それはいつ頃ですか?
「平成…4年ごろかなぁ?」


教団がサリンを作ってるのをいつ知りましたか?
「松本サリン事件の数ヶ月前です」

なぜ知ったんですか?
「サリンプラントの作業をしていて…私の、仕事は電気工事なんですけども、電気工事の作業員仲間から、噂として聞きました」
「平成6年…2とか3月頃です」

噂として聞いたんですね?
「ええ…はじめは、噂としては、そういうことで」

誰からの指示でプラントの仕事をしていたのですか?
「村井からの指示で…目的は一度も教えてもらえませんでした」

サリンだと気づけなかった?
「それは無理です」
「第七サティアン自体秘密にされていって、勝手に人に言ってはいけませんでした」
「非常に仲の良かった人…例えば井上とか、そういう人としかヴァジラヤーナの話はしませんでした」


プラントの作業員は何人くらいですか?
「自分の仕事だけしていく人もいたので…(分業っぽいというニュアンス)常には、2〜30人とか?最大限見積もって50人くらいです」


<指でほっぺぷにーってしてる克也さんを確認。よくやっているポーズです。>


なぜ秘密に?
「グルと弟子の間での、一つの教義で…麻原が、密教というのは秘密にしておくことによって、力になるんだ、と言っていました」

サリンの隠語は誰が使っていましたか?
「同じ様にサリンプラントの従事者とかが、使ってて、共通認識のように思っていました」

サリンを認識したのはいつ頃ですか?
「認識…………ハッキリした時期は、特定できないです」

運転手役であることを、当初の三人に伝えたのは誰ですか?
「私が平田と杉本に伝え、杉本からTに伝えてもらいました」

何をしにいくかなど内容は伝えましたか?
「内容は伝えてません」
「電話で依頼したので、そういう話はしてはいけないんです、盗聴されていると、言われていたので…」


どんな言い方で伝えましたか?
「あー…正確な記憶はないんですけどー…明日、運転手として用事を頼むから、時間あけといてねーみたいなことです」
「秘密のワークだから、サリンをまく話はしませんでした


上九から東京まで向かったメンバーを教えてください
「私、杉本、平田とTと豊田」

車内で目的について話ませんでしたか?
「いいえ、しませんでした」
「正式に決まってませんでしたし」
「(情報を開示することは)私から、そういうことをいって良いのかわからない、教祖の判断になるので」


あなたと平田との関係を教えてください
「非常に仲が良かったです」

ペアを組むほどに
「はい、率直に話しができる?みたいな、全てではないけども」
「一番仲良かったです」

新宿でブラブラしたとき、二人きりで?
「豊田は、車の中でまっててもらいました」

二人きりだったと
「ええそうです」

その時に、(今回運転手をする)目的について話しませんでしたか?
「えーと…ハッキリは言ってません」

理由は?
「うーん………やはり、それは言ってはマズイと思ってました」


3月17日の行動についてうかがいます
第六サティアンの村井の部屋に行ったと
「ハイ」

当時の科学技術省の序列はどのようでしたか?
「いろんな見方がありましてー…一概には言えません」

大臣は?
「村井です」

他の三人が次官ということですが、序列は?
「えっとねーーーー…私は、大臣代理をやっていたので、私、広瀬くん、横山くんだと」
「でも教祖に重用されてる人の方が上と考えたら、広瀬くん、横山くん」
「表向きでは、私のが上です」
「表向きではなくて、ヴァジラヤーナ的な会議では、私は外されていたので」


村井の「断りたかったら、断ってもいいんだよ」という発言について、どういう口調でしたか?
「うーーん…………これは、かなり主観ですけど、私はやはり冷たい言葉に感じました、断れるわけないんだから、断らせない念押しのようだと」


先ほどおっしゃった、「断るとヤバイ」とは?ヤバイとはどういう意味ですか?
「自分や自分の家族に対する身の危険です」
「当時よく行われていたナルコ、電気ショックを受けなければなりますし、下向したらポアすると言われていました、命の危険を感じました」
「他の人たちは私よりももっと真面目でした」


村井が言った「これはマハームドラーだからね」という言葉は、どういう意味と捉えましたか?
麻原からの指示だからね、という意味合いだと」


あなたと井上さんとの関係は、どのようでしたか?
「えっとーーーーー…大変仲がいい部分と…あとは、どゆふに言ったらいいんですかねー…ほかの人は、法廷で井上に対して『天敵』と言われる方もいますが…私も敵対してる時もありました」
「序列は私のが上でしたが、現実では井上のが上でした、あ、いえ、通達が出たら、彼のが上です」
「麻原との距離は、井上のが上だったと」


井上から、地下鉄にサリンをまくという計画について説明を受けましたか?
「井上が運転手のアイデアを出しました、一方的に言われたことです」
「井上は、『村井さんは細かいところに気づかないから、自分がやらなきゃ』と言っていました」


はじめの運転手について、あなたはどのように言いましたか?
「三人は不適切であると」
「平田さんは假谷事件、アタッシュケース事件で井上と一緒に居ると息もできないと言ってました…なんというか、精神的に、テンパってたから」
「Tさんは、杉本から仕事がちゃらんぽらんで、どうしようもないと聞いていたので」

<ちなみに、運転手の提案については、井上さんは、泰男さんから言われた、と主張しています。>


3月18日の村井の部屋での出来事についてお聞きします
「ハイ」

村井と井上の会話
「村井は『何で車が必要なの』と言って、井上が『事件が成功したら、電車が止まったとき車の送り迎えが必要だから』と言いました」

そこで運転手が必要だと決定したのですか?
「合意のラインには達してなくて、麻原にうかがいをたてる、という感じです」

井上はそのとき本を二冊持ってた?
「えっとねぇ、乗降者数のデータは、違う本かもしれまいです」
「んーとねぇ、明確な記憶じゃないんですが、多分そうだと思います」
「あー…そいういうかんじの話し合いは確かにありましたねぇ…」

警察官の出勤時間が8時半だからと犯行時間を決めたのは誰?
「…………どちらかというと、村井かな?」

担当路線はいつ決めた?
「上九で担当路線は決めていました」

それはアミダで決めたのでは?
「エーーー?路線をですか?」
「…何となく、アミダをやったという記憶はあるんだけど、これで路線を決めたかというと覚えていません」


今川の家に最初に集合したのは、林泰男さん、広瀬、横山、豊田と待ち合わせてた三人ですね?
「ええそうです」

井上さんが待っていると思っていた?
「ええそうですね」

どこで待ってましたか?
「こたつの部屋で」

何かを話し合った記憶はありますか?
「ええあります」

ペアを決めたり、下見どうしようかと?
「駅を、座った状態で実行したかったので、始発の駅から乗り込んだほうがいいかもしれない。でもそうすると遠くなる、そうすると甲府街道が混むので、近くのビジネスホテルに泊まったら?などと話しました」
Tさんと平田信さんもそこにいましたか?
「Tと平田に関しては、その部屋か隣かわかりません」

「サリン」という言葉は使いましたか?
「使ってません」


平田さんと買い物へ行って帰ってきたとき、井上さんはドドドと慌ただしくきましたね?その時高橋さんはいましたか?
「いません」

高橋さんを初めて認識したのは、今川を出て渋谷に向かうタイミングで?
「そうです」

新宿へ買い物へ行き、今川の家に帰ったとき?
「そうです」

それはいつごろでしたか?
「午後7時前…?くらいです」

井上がドドドときて、早口で説明されましたか?
「はい」

何分くらい?
「5分前後くらいじゃないでしょうか」
「そのあとすぐ島田邸へ出発したので、話自体は5〜10分以内だったと思います」
「7時半には今川へ戻り、渋谷へ行きました」

井上がドドドときたとき、運転手の変更が話されましたか?
「はい その時はじめてスマンガラ(高橋克也氏のホーリーネーム)という名前が出ました」
「ペアについては言いませんでしたので、私が個人的に井上に聞きに行きました」

その時「サリン」という言葉は出ましたか?
「記憶にないです」

その時の井上の雰囲気は?
「慌てた調子といったら、いいんでしょうか…島田邸事件の方に、意識が向いていたんだと思います」

島田邸事件へ誘われた時の井上はなんと言いましたか?
「ちょっとちょっと、よかったら一緒に来ない?…という感じです」
「おもしろいことがあるよ、って雰囲気で…」
「最初は…アノ…お茶でも飲みに行くのかな、と」

その事件では、車の中で爆発を見ていた?
「はい」

誰と?
「平田と二人で、です」

爆発した時どう思いましたか?
「ええ目の前で…ん…ただ……驚きました」

今川の家で、高橋さんはどこにいましたか?
「今川の家の外ですか?ビジュアル的な記憶はないです、特定できないです」


渋谷へは誰と移動しまいしたか?
「えっと…杉本と私で移動です、二人で」

車内でサリンをまくという会話はしましたか?
「いいえしてません」

渋谷ホームズに着いたのはいつごろですか?
「8時少しすぎだと思います」


「一つ前の、質問、多分、井上が、先だったかと」

渋谷ホームズに到着した井上の様子は?
「ええーと…ぁー…躁状態でした」
「うーん…まなんか、あの、成功したー!みたいな、ニュースになるみたいなことを行ってました」

それを聞いてあなたは何をやってきたのかと思ったのですか?
「島田邸と違うことを言ってたので、似たようなことをやったんだろうと」(実際に井上さんは、青山総本部道場に火炎瓶を投げ込む自作自演をやってきた直後でした)

井上の声の大きさは?
「うーーーん…わりかし、ほかの人にもみんなに聞こえるような かんじだったかと」

井上がくるまえの雰囲気はどのような感じですか?
「風呂入ったり、服装の準備していました、バタバタしてたんで、周りに気使ってなかったです」

運転手役の人たちはどうしていたんでしょうか?
「………気にしてなかったけど…多分楽にしてた、休んでました、寝てる人とか…あ完全に熟睡してる人はいませんでした」


村井からかかってきた電話について、どのような内容でしたか?
「一回目は、村井が『どこにいるんだ』と言ったので、私は、村井も渋谷ホームズにいるもんだと思っていたので『下にいます』と言いました」
「そしたら『すぐ帰ってこい』と言われたんで、見に行ったんですけど、いないんで、ほっといてー…といっても、あんまりほっとくのもマズイと思ったんでっフフ(笑 吹きつつ)井上に伝えました」
「『サリン』と言わないようにしました」
「二回目は、夜中、0時まわってました」
「やはりさっきと同じように、ケータイに、村井から『何やってるんだ、どこにいるんだ』『戻ってこい』というから、私の方は、今井上がそちらに向かってるんで、と話をしました」
「電話では『サリン』と言いません 盗聴されていると言われていたので」

渋谷ホームズに集まっているメンバーの中で一番地位が高いのは誰ですか?
「新實が一番地位が高いです」

杉本はどうしていましたか?
「杉本は隣にいて、二人とも一緒でした」

新實に村井のことを伝えましたか?
「いいえ、そういうんじゃなくて、村井がとにかく戻ってこいと言ってる、どうしましょうか、みたいに相談しました」

『正大師がサリンをとりにこいといっている』とは言いませんでしたか?
「それはないです」(強調して)

三回目の電話では?
「頭ごなしに、とにかくスグ帰って来い、実行犯はすぐ上九に戻ってこい、と言われました」

その時『サリンをとりにこい』と言われませんでしたか?
「………おそらくない、と思います」
「サリンという言葉を言わないどこうと」

それはなぜ?
「んーーなんかはばかられました」
「その時点で、なんですかね、教団の場合、いろんな計画が突然ポシャることが、よくありましたのでー…言うべきじゃないと思いました」

上九へ行く時、誰といきましたか
「上九へ、杉本と…豊田?豊田(と行ったかは)はっきりしないです

車内でサリンの話をしましたか?
「していません」

杉本とサリンの話をしましたか?
「いいえ、一切、してないです」

上九から戻り、渋谷ホームズで、豊田さんは「サリンをとりに来い」といいましたか?
「んー…記憶にはないです
…いえいえ、違います。『みんな受け取りに来て』みたいな

豊田さんは、大きな声で「サリンをとりにきてください」といいましたか?
…いいえ、ありません…んー…あたしの記憶では…ありません。
「えっとねぇー…ただ、なんらかの声はかけられた気がします

袋からサリンがもれている袋がありましたね。
それをあなたが受け持った理由は?
「1つには、私が持ってしまったから、他の人におしつけるのが嫌で」

それはどうしてですか?
みんな嫌そうにしてたので

そのサリンは完成されていないものだと認識していたのでは?
「んー…どうなんでしょいねぇー…完成されていない、という気持ちは、元からずっとありました

運転手は、空いた時間には横になって休んでいるんですね?
「教団では、そうなんです」
「杉本さんは、車で寝ていました」

上野駅に着いた時、郁夫さんからもらった注射を持っていたということだが、緊迫した話にならなかったのですか?
「いいえ、ないです」

ではなぜ注射をもっていたのですか
「それはねぇー…万が一の時、打つと

杉本さんと万が一の時に注射を打って欲しい、という話をしていた
「何かを話していたかったから、それを言ったんです」
「その時はもう、車外だったんです」
「でも何となく(地下鉄構内へ)行きたくなかったから、話していたかったのです」

(サリン散布を)やりたくなかった?
「ええ

散布後、渋谷ホームズに戻り、ポータブルTVをみんな見ていたということだが、それは喜んでいる雰囲気でしたか?
「ハイ」

林さん自身はどういう気持ちでしたか?
「うー…どういうんでしょう…ああ、やってしまった、みたいな感じでした

喜べる?
「いえ、言葉自体は、覚えてないけど、態度では表してました」

TVを見て、事件について一番喜んでいたのは、誰ですか
「一番、と二番で、井上と新實です、よろこんでた」
「(二人の)内心はどうだか分かりませんけど」

高橋さんが、林さんに心情を話したことはありましたか?
…高橋さんが?…えーーーっと…VX事件のことで、話したことがありました
「地下鉄サリン事件の数日後、逃走中、私と高橋さんと二人っきりでした」
「『VXで永岡さんを殺したって聞いてたんだけど、本当なの?』ときいたら、『そんなことはしていない、殺してない、病院に確認したけど、事故で済んだ』と」

井上について、高橋さんは何か言っていましたか?
「話の趣旨を違えるみたいな、『そうやって井上は、林さんに対しては永岡さんを殺害したと言ったり、きっと麻原にも事実に反したことを報告してる、だから間違った判断を(麻原が)してしまうんだ』また、『井上はそのVX一滴ピュッとかければ殺せるんだ、と言ってたけど、そんなことないんだ』などと言っていました」

他のVX殺害事件に関して話ましたか?
「話していません」

他には話したことありますか?
「えーっと…高橋さんの事件で…これは、高橋さんからか、假谷さん事件で車に押し込んだ人からかきいた話で、それをきいたのはねー…時期や場所は、ハッキリしないです。地下鉄サリン事件の後だったと思います。その内容は、高橋さんが、假谷さん事件で『あんなところであんな時に本当にやるとは思わなかった。押し込む役をして、本当に申し訳なかった』ということを言っていたということです
これをあたしは、平田から聞いたと勘違いしてて、というのも、平田さんの検事さんから、平田さんは車に押し込んでないと聞いたので

それで高橋さんの発言と断定したのですか?
「中村(昇)さん以外の人です、間違いなく」
「Iくんの可能性もかなり少ない」

今川や、渋谷で、井上が高橋さんに何か説明しているのを見ましたか?
「いいえありません」

井上が、高橋さんに何かを説明している場面の記憶はありますか?
「一度もありません」

杉本さんに、いつサリンをまくと伝えたのですか?
「杉本さんには、実行直前に、これはサリンだと伝えました」


【最終尋問】
検察:渋谷ホームズで、井上の話を、運転手役も含めて、みんな聞いていましたか?
「ー…うーん…そのときの雰囲気は…主に実行役についての指示と確認だったので

運転手役も、話に注意は向けていましたか?
「ハイ」

実行役についての指示と確認だった、という根拠は?
「さっきも言ったように、井上の呼びかけに集まったのは、実行役でしたから」

運転手役をかばおうとしてませんか?
「いいえ、全く」

井上の説明後、郁夫さんとマンツーマンで話をしていた?
「ハイ」

井上が、被告人に説明している場面を見たことはありますか?
「一度もないです」

(質問がメモられていないのですが、地下鉄サリン事件について)
「えっとねぇ…その日、やっている、私たちの活動について、それについてねぇ…具体的な言葉は、出てこないんです。どうせうまくいかない、途中でポシャると思っていました

「アタッシュケース事件もそうだけど、当時、プラズマ兵器とかレールガンの兵器とか、全部含めて、どうせ村井がその時期にすると、うまくいかないから、という話をしてました」

新宿に買い物に行った頃、サリンの巻き方は決まっていましたか?
「何も決まってませんでした」

島田邸爆破事件について、平田信さんは爆発を見たときどんなようすでしたか?
「彼も私と同じように驚いていました」
「立ち去る井上と、(その井上が置いていった)紙袋、両方見ていました」

平田さんをかばうためそのような証言をするのですか?
「あー…理解できません

井上さんについて、否定的な部分があると言いましたが、当時もありましたか?
「ハイ、もちろん」

どのような部分ですか?
「うーん…たくさん!

具体的な話はありませんか?
「ーそうですねー…ん、ま、井上のxx(メモ読めず)に対する姿勢、ヴァジラヤーナに対する肯定的な姿勢、犯罪中にかなりムチャクチャなことをするんです

あなたは、なぜ下見にいかなかったのですか?
「ポシャると思って、下見にいきませんでした」

上野駅で杉本と話していたとき、行きたくなかったとは、サリンをまきにいくのがイヤだったのですか?
「ハイ」
「人殺し、そうではないに限らず、そういうことはしたくない、そのときには(大勢亡くなることになるとか)そういう感じには思っていませんでした」

実行役と運転手役をあみだくじで決めた記憶はありますか?
「昔からずっと、あみだくじで何かを決めたという記憶があります、それはペアか、路線、どちらかだと思うのですが、言い切れる記憶じゃないんです

xx(メモが読めず)で高橋さんと会話したとき、VXのことを訪ねた?
「ハイ」

井上とVX事件について話をしたのは、いつんなんですか?
「いつなんだろう…地下鉄サリン事件の前だったかと

何と言いましたか?
「んー…具体的には分かりませんが、VXで永岡さんをポアしたと

殺害したという意味ですか?
「ポアという言葉を使いました」

高橋さんはなんといっていましたか?
「(永岡さんは)重体だけど死んでいない、と」

VX事件のことは知っていましたか?
「どの時点か分かりませんが、知っていました」
「高橋さんとおそば屋さんで、週刊誌を見て、それで聞いたのかも、永岡さんのことが載っていました」
「高橋さんは、井上の部下だったから、知ってるんじゃないかと思って聞きました」

他にも部下はいるんじゃないですか?
「そのときはそう判断しました」

サリン事件を一緒に起こしたから聞いたのでは?
「あー、そういうベースも、ありますねぇ」

(上野駅で)車外で杉本さんにサリンのことを話したのはなぜですか?
「『これがサリンなの?』と聞かれたからです。もともと秘密を共有していて、サリンプラントも一緒に作ってましたので」


【裁判員から】
(何か質問がありましたが、メモれず)
「ハイ、ハイ、ハイ…それはねぇ、記憶にないです
と一蹴されました


【裁判官から】
サリンの隠語は、どこで知ったのですか?
「魔法使いサリーという、小さなパンフレットがあって…そん中に、サリンの作り方や状態が書いてあったのです、中川くんか井上くんの、どちらかから見せられました
「松本サリンの…頃、なんとなく自然に使ってました

新宿で、なぜ豊田さんをおいて平田さんとでかけたのですか?
「平田さんはそのとき、私とペアだから、豊田さんは、まだ相棒が決まってなかったからです」

下見に行かない理由を話しましたか?
「いいえ、してません」

理由について平田さんに聞かれたことはありますか?
「ないと思います」




裁判長が「それでは終わります」と言った瞬間、ガタガタと警備員やスタッフが起立して準備をはじめた。
そのとき、泰男さん、おもむろに

「あの、最後にひとことだけ…私が起こした事件によって、被害を受けた方々に、心より、お詫び申し上げます

と言いました。

裁判長、裁判員、検察、弁護人、警備たちは、無反応ですぐに帰る準備にかかり、さっさっとパーテーションが組まれ、泰男さんは退場しました。

この日を通して、検察や裁判長が、泰男さんに謝罪の機会を与えなかったのは少し謎ですが、完全なアウェイ状態で、ひとこと入れる泰男さんの勇気に感じ入りました。
私は、退席させられてもいいから、「応援してます!!」と声に出して言いに行けばよかった。
もちろん、応援していても、私は彼らのやったことはゆるされないと思いますし、言っていることを全て肯定する気もありません。
ただ、人と人とのあたたかみの中で人は心を開いてゆき、本当の自分を取り戻すことができます。騙されていた、強要されていた過去から、みなさんがはやく立ち直って、取り戻して、できることなら、今の気持ちを、表現してほしい、そう思います。
ところで、高橋克也さんの裁判なのですが、広瀬さんも、泰男さんも、全体的に彼の印象が希薄で、「いつの間にかいた」感じが否めません。
広瀬さんは、ちがう部署で接点もほとんどなかったので、あまり意識していなかったことがあるのかもしれませんが、泰男さんは、親にまで会っているのに・・・
裁判に傍聴へ言った友人に聞きましたが、克也さんは、家族ではお兄さんに比べて学費などを全然かけてもらえなかったようで、本当に存在感の薄い人生を歩んでこられたようです。


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