最近は、色々な関係者やオウマーの方など増えて、色々と意見交換出来て、とても興味深く思っています。
オウム事件って、個々人によって意見が違って、とても興味深いです。
その中で、正しい、間違っている、という単純な善悪に寄らず、様々な意見について聞く耳を持つことが大切なのではと思いました。
では、以下聞き取りです。
2013年6月22日 日比谷 日本脱カルト協会公開講座 「オウム集団・あの事件は何だったのか?ーカルトメンバーと死刑」
プロローグとして、青沼陽一郎とフジテレビが作った「虚像の神様」というアニメが放映。 続いて、司会進行の北海道大学の櫻井義秀教授が登壇。アレフがここの所北海道で信者を増やしていることに ついて言及。平成24年には40~44歳の人が最多で、平成24年はなぜか65歳以上の信者が増え、30歳以下の信者も増えたという。
【プロローグ映像の報告】 青沼陽一郎
オウム裁判をいくつも見た青沼さんは、裁判によって信者一人一人を主人公として見ることが出来たと。
「信者はほんっとうによく喋る。ベラベラ喋る。人を殺したこと以上に自分のことを喋る。しっかりとした受け答え で、教義、背景をふまえ喋る。特に井上は饒舌な印象。麻原は、本当はしゃべりたかったけど、自分にとってプラスに ならないと喋らない。」
アニメ化した理由として
「実は笑える話なんだ、と俯瞰して見てみた。 しかし、『虚構の世界』と『現実』は違う。彼らは『虚構の世界』に生きている印象が強かったため、それを際立たせるためアニメにしてみた。」
自分たちが「虚構の世界」を「おかしい」と気づいていたのか? 虚構に固執して、現実に目を閉じ続けているのか?
ほとんどの信者は前者で、「おかしい」と気づき前向きに贖罪を始めた。 だが、麻原彰晃や新實智光は、まだ虚構の世界に住んでいるようだ。
「笑えるけど恐ろしさがある。虚構に生きる怖さ」を表現したかった。
【基調報告】①「現実感のなさと絶対者」 滝本太郎
「良い人が良い事をするつもりでやった」というカルトの本質をまず理解してもらいたい。 「日本にとって刑事手続きを使った戦争」だったとも。
滝本さんは「微罪逮捕でもいいから早く捕まえて欲しい危な い幹部リスト」みたいのを警察へ提供したそうで。
あと事件後に裁判を円滑にすすめるため、地検で中沢新一の 勉強会をやった。
裁判に関係する人たちは、ほとんど宗教的、サブカル的知識が無かったので、そのセッティングもされた。
マインドコントロールについて、東京地検次席が「マインドコントロールにより取り調べが困難だった」と言ったらしい。
また独房修行や激しい呼吸法で脳内麻薬による幻覚を「覚醒だ」などと言って教義に利用したり、晩年はLSDや 覚せい剤を使用して信者に幻覚を見せて、現実感の無さを作っていたと。
また、「麻原は信者の排泄物を他の信者に食べさせていた。それほどまでの権力をふるっていた。」 麻原に絶対的服従。信者は完全にマインドコントロール下にあったという見解。
また、上祐氏について、「自分がグルとなって、ずうずうしくやってる。本を出したり、共著したりして関わるマスコミは信じられない。」
元信者について。
「当時子供だった人も、立派な大人になっています。公務員になった人もいます。亡くなったり、他の宗教へ行ったり、色々です。」
アレフについて、「陰謀論、弟子の暴走、尊師は肯定する」など、都合良く情報を選択している。今いる大幹部に 至っては、本気で「一連の事件はポアだった」と断言する人も。
12人(オウム元幹部)の死刑執行反対について
「私は強固な死刑存置論者であるが、その理由については『死刑の理由』という本を読んで頂きたい。」
「制度として悩むは、執行人の苦悩と冤罪。」
「麻原彰晃は、弟子が自分と一緒に殉教したら喜ぶだろう、喜ばせたくない。また、麻原が死んだら現信者に『殉教者』として神格化され、崇められるのは悔しい。」
12人の死刑囚を、一人一人分かって欲しい。
横山真人は、警察の取り調べがダメだった。
麻原の写真を持って来て「踏めるか?」と聞いたり、暴行があったりし たという。
新実智光は、麻原がいつまでも喋らないからついに証言を始めた。「ダメおし証言」。 お詫びはしているけど、「救済失敗」に対しておわびをしている。
12人はマインドコントロールされ麻原の手足となっていた。一人一人を分かってほしいなと思う。
また麻原の家族に関して、「差別をしないでほしい」と。
死刑囚が説得してオウム脱会する人たちが随分多かった。カナリヤの会の獄中会員となってる人もいる。
特に、「井上はあまりに脱会させてしまうので、遂にオウム側が合わせないようにしたという経緯もあった」と。
今、滝本弁護士はオウム以外にもさまざまなカルトの案件を抱えている。
破戒的カルトは実に多く、信者に売春をさせたり死亡事件をおこしたりする、と。
「指導者の絶対性に加えて、現実感覚がどこまでなくなっているかが問題か」とのこと。
【基調報告】②「地下鉄サリン事件と私」 高橋シズヱ
高橋さんは開口一番、言いたい事として「警察はなぜオウムを止めなかったのかな」ということを仰られた。
2010年に国松元警察庁長官と高橋さんがお話しをされたとき、国松さんは
「坂本事件が早く解決していれば、と責められているが、我々が事件にもうちょっとつっこんでいれば、と思う。その通りだと思う。どうしようもない。警察としては一言も弁解しようがない。」
と仰られたと。
また坂本弁護士の奥さん、都子さんの父親も
「私達の事件の時に解決していれば、申し訳ない」と高橋さんにお話しされた。
「当時坂本弁護士事件の被告人達は、私の子供と同世代、親もいるはずだ。彼らの親は何をしているのか?」
と高橋さんが発言された時、弁護士(多分坂本弁護士を救う会あたりの)が
「被告人の親御さんたちは、坂本事件発覚後、一緒にビラを配って捜しまわった。」
と言われたそうです。
また「虚像の神様」の中で、地下鉄サリン事件でお父さんを亡くされた方が、井上嘉浩さんに向かって「私のお父さんは、ここに来る度に何度も何度も死ぬんです」と悲痛な証言をされたことをとりあげ、「私も、事件の話をする度、主人を殺している」と。
「(信者の)親御さんたちも含め、被害者である」とも。
オウム死刑囚三人が平田信の裁判へ出廷することについて。
そこで彼らを公開するかどうかで揉めてますが、高橋さんは
「公開が当たり前。非公開するなんて謎。」
「殺人者が擁護されているのはおかしいし、検察や警察は責任転嫁をやめて、もしもの時そうならない様にする のが仕事では?」
…と。
裁判には被害者参加制度というものが出来たが、97年12月に地下鉄サリン事件の負傷者は、裁判迅速化のため に6千人あまりを負傷者12人に減らされてしまった。
それでは、ほとんどの実質の被害者が裁判を見れないことになる。
オウムの裁判は公開するべき。
最後に、15分ほどの、被害者の現在を取材した映像を流されました。
以下、その内容です。
・大山さん(女性)
小伝馬町駅付近で、職場にあと一駅のところで急に気分が悪くなり、立っていられなくなっ た。
とりあえず下車をしようとするが、周囲もバタバタと人が倒れて、大変な状態だった。
自分自身も、命からがら地 上へ出て、歩道の植木のところでタクシーを呼んだ。息苦しく、気分が悪く、歩道でしゃがんでいると、目の前が暗くなっていることに気づいた。
「出掛ける時、晴れてたはずなのにな…」と不思議に思った。
病院へ行き、ほとんど動けないような状態で、安静にしていた。
人出がないようでバタバタしている。インターンの医師と男性医師が来て、大山さんを指し「次はコレか?」といったようなことを言った。モノ扱いされたと思った。
後に警察に事情聴取を受けた時、「なぜ倒れている人たちを助けようとしなかったのですか」と言われた。「そんなことをいわれても…自分自身に精一杯で…」といったことしか言えなかった。
事件後、地下鉄に乗るのが怖くなり、バスを乗り継いで通勤することが続いた。
身体が思い出してしまうようで、毎 年3/20~GWくらいまでずっと調子が悪い日が続く。
・長女を亡くされた母親
事件当日、昼頃、夫から電話があり「○子、死んだよ」と言われた。
出掛けようとすると電車が動いていない。必死に築地署へ向かった。
警察署の地下、霊安室のようなところに遺体がおかれていた。
既に解剖されていて、素っ裸。解剖跡なのか、身体 の真ん中にガムテープがビッと貼ってあった。
娘さんの写真が映し出される。とてもきれいな方。享年33歳ということ。
最近、この母親は夫を亡くされた。 夫は、長女を失ってから深酒をするようになった。
毎日毎日、「娘の所に行きたい」と深酒をした。
長女が生きてたらなぁ、寂しい、情けない。
近所の娘さんが、小さかった頃長女のお葬式に来てくれた。
「おねえちゃんはどこへいったの?」「遠い所へいったんだよ」…そんな会話をしていた娘さんも、今は就職活動をし ている。
かたや我が家は…とても情けない。
娘に先に死なれるのは、本当に辛い。
夫は生前、「林泰男をブン殴ってやりたい」といったことを言って、怒りをあらわにしていた。
母親は、この気持ちを林のお母さんにぶつけたいと思う。
でもしていない。
・浅川幸子さん(事故後全身麻痺になられた方)、兄夫婦
事件当時、兄は14~15時くらいに病院で会えた。「とにかく生きていてほしい」と思った。
兄嫁はヘルパーの資格をとり、在宅でヘルパーさんを雇いながら介護をしている。
「ずっとつきっきりだと家出したく なっちゃう」と。最近の悩みは、このまま幸子さんが高齢化するにあたって介護を継続できるのか、障害者は老人介護に使えるよ うな制度を受けれないらしい?のでどうしようか、ということ。
【基調報告】③「何人もの被告人と面接、心理鑑定をして」 西田公昭
西田先生は日本脱カルト協会の代表理事である精神科医である、と自己紹介をされる。
9人のオウム被告人を心理鑑定されたと。9名の名前は全員は非公開ということ。
'99年に井上さんを鑑定されたと。
そして2010年、井上さんは死刑判決を受ける直前に西田先生へ年賀状をおくったと、それがプロジェクターで映し出される。
真っ白なはがきに、
「謹賀新年 昨年は色々とありがとうございました。 どうかいつまでもお元気でいてください。 雪つもる 枝に花咲く 寒椿 」
最後に沿えてある俳句について、「辞世の句なんでしょうかね」と仰られる。
さて、西田先生が強調したかったのは
「カルトに入るのではない 気づくとそこはカルトだったのだ」ということ。
オウムのカルト性がどこから始まったのかは明らかではないが、かなり初期から麻原の破壊願望があったのではな いか、と。
カルトの定義とは。
・全体主義的(=教祖の目的)に従事させられる
・個人の考えを通せない
・批判をしてはならない
・個人の生活の侵害
ここで、西田先生はエッシャーの絵画を映す。 「天使と悪魔」というタイトル。
この絵は、黒い部分は悪魔、白い部分は天使で、見方によっては どっちにも見える絵。
この絵をみて、西田先生は
「いい人、社会的に役立つような人たちが悪い行為へ走ってしまう、監獄実験で有名なアメリカの心理 学者フィリップ・ジンバルドーが提唱しているように、人というの は、「白・黒」どちらでも引き出してしまうのでは。」と仰った。
「宗教というのは、救済が目的です。 犯罪者となった信者たちは、被害者に悪意はなく善意さえ抱いていた・犠牲はやむなしとしたものではないのです。 また、裁判官・検察・弁護士も、宗教事件ということをよくわかってなかったのでは」と。
「 一般の人から見れば、まさに荒唐無稽。コスモクリーナーだのフリーメーソンだの…そういう世界と、社会的地位もけして低くなく、まじめでいい人たちがその人生のレールをドロップアウトし てまで出家し、人生をかけてやったということが対比しているのでは。」
「 裁判では、心神喪失かどうかが争点となったりするが、期待可能性(この行動しかとれなかったのかどうか)が無かった=命令に従ってなかったということになる」
「出家する人の心のメカニズムとして、
解脱したかった・修行したい・救済ができる(マハーニルヴァーナにたどりつく・ハルマゲドン回避・シャンバラを築く) ということで、
それは先ほど言った様に、幸せな家庭を築くとか、お金を稼ぐとか、出世するとか、長く生きるとかより彼らにとって価値のあるものであり、
その普通に暮らす可能性を捨ててきてしまったのだから、なおさら大切なものとなる。」
「またこれは、世界中でテロリストを作るためのマインドコントロールと同じである。
当時の世相として、バブル景気で拝金主義があった。そういう価値観に嫌悪を抱く若者が、精神世界へ興味を持ち、ヨガブームや武道へ憧れを抱く様になった。
オウムはそこをうまく救い上げている。 」
◇ 西田先生は、信者の犯罪心理を分析し、教祖の指示に対して、次の5つの心理的影響力が極めて強力に作用した結果であったと、結論づけた。
1.権威の影響力(Authority):教祖への畏敬 →教祖麻原は神である、故に自分の考えなど出してはいけない。服従することが良い事となる。これは一般人にもある考え方で、「おかしいのにみんな口を出さない」なんてことは集団の中でよくあることである。
2.信念の影響力(Belief):超越的に優れた教義 →オウムの修行メニューはかなり成果が出やすい、そのジャンルではよく出来たものだった。変性意識状態で、死についてよく説かれた。(バルドーの導きのイニシエーション、「人は死ぬ、必ず死ぬ、絶対死ぬ、死は避けられない」 というマントラなど)それに対して「ポア」という解決策があり、それは教祖が「今その人にとって一番いいタイミン グ」で死なせてくれるというもの。
3.自責念の影響力(Commitment):人生を捧げた行動 →出家は自己犠牲である、それによって「自分のものを家族も財産もいっさいがっさい捨てて来た」という自負と自責(後戻り出来ない)がある。
4.生理的剥奪の影響力(Deprivation):思考力の低下 →修行生活は労働過多、睡眠不足、栄養枯渇状態であり、欲を封印すること、身体、心へのそれぞれのストレスが 快感を与える脳内物質を分泌し、「修行の成果」と思える様に作用した。
5.習慣化の影響力(Habituation):条件付けられた行動 →出家生活は基本的に単調な生活パターンであり、自分で考えられない頭が出来上がる。普通、人は「思考」の後 に「行動」がくるが、「行動」の後に「思考」がくるという状態であった。
西田先生によると、ここから一つの方程式を導き出した。
それは、それぞれの英語の頭文字をとって
V(犯行)=(A+B+C+D)H となる。
【指定討論】楠山泰道(僧侶、前代表理事)
オウムだけでなく統一教会などのカルト信者の家族の支援をされてる方。
「オウム問題は宗教者として統括したい」ということ。
【指定討論】小野毅弁護士(オウム真理教被害対策弁護団事務局長)
「こんなに頑張ったのに、アレフ・ひかりの輪が潰れない事に納得いかない。」と、その理由について語られた。
まず破産手続きは、結果的に不完全だった。効力は1年くらいだった。
またオウム側も対策をしていて、信者ということを隠して就職し、お布施したり、パソコン業で随分と収入を得てつぶれなかった。
また幹部が残って頑張っていた。当時は村岡達子や、麻原の家族の影響があって、上祐が出所するまで持ちこたえようとしていた。
さらに、麻原がまだ存在していること。
そして、教義が、ヴァジラヤーナ以外の教えを肯定しているが、それ以外にも悪い教えがあるのではないか、全面批判すべきだったのではないか… と、苦渋を浮かべた表情で語られた。
【指定討論】永岡英子(オウム真理教家族の会)
今回は奥様が登壇された。永岡弘行会長は聴衆に混じって会場に座ってみえた。
まず、元々「オウム真理教被害者の会」という名前だった家族の会。
これについて、坂本弁護士は「被害者は信者のことなのになぁ」と言われたという。
初めは、オウム真理教へ出家してしまった子供達が家に帰って来て欲しい一心で、坂本弁護士と始めた同会。
しかし、会発足後2週間で坂本弁護士が行方不明となってしまわれた。
英子さんは壇上で涙声になりながら、
「この会を発足したときは、誰もこんな結末になるなんて思わなかった。」
「(事件の)被害者や遺族の方達には、謝っても謝りきれない。」と仰られました。
「はっきりいって、信者達の死刑は想定外」だったと。「こんなことになってしまうのか?と実感がなかった」と。
そして今回壇上で、家族の会としておねがいしたいこととして二点仰られた。
まず麻原以外の12名の死刑執行反対の署名。
これは、「人を殺したので死刑になるのが至極同然なのでは?」と 思われるのは当然だが、あくまで家族の会として、会員と会合を重ね、この会のスタンスとして決定をされたと。
何度も「被害者の方達に申し訳ない」と涙ながらに仰られました。
「壇の上なんかからで申し訳ないのです が、署名をおねがい致します。」と消え入りそうに仰られました。
そして二点目は、教団の散会を強く望むということでした。
【パネルディスカッション】
司会 櫻井義秀
参加者 青沼陽一郎、滝本太郎、高橋シズエ、西田公昭
休憩中に集めた会場からの質問を中心にディスカッション。
Q 上祐は犯罪に関わってないのでしょうか?未だに平然と宗教をしていますが?
滝本弁護士:熊本県波野村の偽証罪で3年くらっています。
上祐はイニシエーションでLSDをやってるし、サリン 70t計画が出た時第七サティアンを作る責任者だった。70t作るための効率を考えたアイディアも出している。
だが、 その後ロシアへ行く指示が出て関わっていない。
彼の今については、不思議で、相手してあげてるメディアのいろんな人が理解出来ないと思っている。
あと、アレフから分裂する時、上祐は話し合って別れた。
Q 12人全員死刑回避は本当に必要か。
滝本弁護士:拘置所というのは、無機質で人と会わない孤独な空間で、宗教に走りやすい。死刑囚たちは本ばかり読んでいるからまた精神世界へ行ってしまう。
麻原のために12人が殉教するのがとてもイヤで、そんなことをしたら麻原が喜ぶだけだ。
麻原を喜ばせたくない。
早川紀代秀は「申し訳ない」「はやく死にたい」と言っていた。
新實智光は、教団や教義についてどう思っているのかはっきりしない。
拘置所からメッセージが欲しいのに、交流が容易でないため苦々しく思っている。
Q (アレフやオウムが居る)地域としてどうすればいいか。
滝本弁護士:「ハマらないようにする。」今もアレフは分かり辛く、親切で優しく話しかけて来たりする。とにかく地域 の人たちは彼らと交流しすぎてハマらないようにしてほしい。
「A」の森達也は信者を肯定的に撮影したのでいけないと思っている。
また吉本隆明は麻原は法廷で喋り出すなど見当違いな事を言っていた。
オウムを恋愛が理由で脱会した人が多い。恋愛して、二人で暮らしたいと思う様になり、脱会したら「生活をどうす るか」という現実問題を女性がまず言い出す。そして男をひっぱっていく。
Q ひかりの輪の外部監査人として河野義行さんが参加していることについてどう思うか。
滝本弁護士:河野さんのことは尊敬しているので、「困ったもんだ」と思っている。
Q 現在アレフはどういう修行をしているのか。
滝本弁護士:足立区の施設には、闇を作ったり独房を作り出そうと思えば出来る部屋がある。今は使っていない様だが、危険だと思っている。
Q (高橋さんへ)12人の死刑囚についてどう思うか。
高橋さん:「大事な家族を殺された遺族に、そんなことを言うか」と言いたい。
豊田亨の両親の希望で、弁護士を通して自分と被害者団体の他のメンバーと豊田の両親に会った事があるが… (少し考えられ)「答えられない」と。
Q (西田先生へ)さっきの方程式のV(犯行)はこれだけの要因では成り立たないのではないか。
西田先生:「命令後」と付け加えるのを忘れました。
Q ブラック企業が最近取りざたされてるが、カルト的思想は組織維持に必要なのではないか。
西田先生:概念一つ一つは社会的に力があるものだ。
だが(方程式の)Aについて「私は神」という考えがあるだろうか、Bについて「ポア」という考えが成り立つだろうか。そんなもの企業は持っていない。
社会常識的にありえない ので、企業や組織維持とはちがうものである。
Q 宗教を信じることと、マインドコントロールの違いを教えてほしい。
西田先生:マインドコントロールは自由が奪われ、条件付き行動がかせられるものである。宗教を信じるということ は、魂が自由になるはずだ。
Q 強い信仰心を持つ人たちの、脱会のプロセスを知りたい。
西田先生:自分の頭で考えられる体力、情報を取捨選択できる環境を作る事。
一人ではなかなか難しいので、専門家にまかせると良い。
Q 今も信仰心をもつ人たちは、なぜ脱会しないのか。
西田先生:95年の事件後に、教団は沢山の問題を抱え、法友同士お互いの考え方をぶつけあい、話し合い、結束力を固めたように感じる。
社会のオウムへの目の向け方が、「社会悪である」と完全に敵視したものだったので、より 信者の心が強固になった。
また彼らは「自分は選ばれた人間だ」というナルシズムを持っていて、一般人へ冷笑的 な所がある。
Q オウム事件と何ら関わりのない人は、どうすればいいか。
西田先生:今日のテーマでは、この事件を忘れない、知らなすぎる、なぜこんな事件が起きたのかを考え、理解すべきということがある。
浅間山荘事件の失敗が、下の世代に伝わっていない結果なのでは、と思う。
社会問題として考えるべきだ。 自身がカルトにハマり悪魔に変身する可能性を考えるべきである。
会場からの質問がおわり、パネルディスカッション。
司会の櫻井教授が「宗教とカルトのちがい」について一言。
櫻井教授:『誰もがうかぶ疑問、私は誰か?世界はどうなるのか?」ということへの答えの出し方が違うということ。
カルトの場合は、「教祖が貴方の疑問も答えもこの世の理も全部知ってるから実践しなさい」という。これはブラッ ク企業にも当てはまるかもしれない。
櫻井教授:オウム真理教が何だったのか、メディアの役割について、オウムの報道はどうだったか、また今後はどう すればいいのかを青沼さんに聞きたい。
青沼さん:メディアはイベント・関心事がないと動かない。その点においてオウムというのはすごくインパクトがあった。また裁判が進むにつれ、新たな発見がでてきて、オウムという特異な集団が好奇の目もふくめ取り上げられた。 現在は、平田、菊池、高橋の三人の逮捕で大騒ぎをしていた。私は当時と同じあやまちを繰り返さないことが大切だと思う。時間が経ち、若い世代が知らないということになっている。また、どうやって伝えて行くか、十分な取材もしないで発表するべきではない。地道に見続けていこうと思う。
西田先生:メディアというのは、例えば取材時、ものすごく基本的なことを聞いて来たりする。メディアが勉強をしてこない。ネットの検索で上位にひっかかった専門家に取材を申し込んでいるだけのような…最低限書物を読んで 欲しい。
メディアの腐った組織、大メディアの構造に問題があるのでは。
滝本弁護士:私は今56歳だが、浅間山荘事件について、「浅間山荘で何かがあった」くらいにしか知らなかった。カルト事件の統括を当時しなかったのが、オウム事件へ繋がったのではないか。
どのような形でもいいから関心を 持って情報をどんどん出して欲しい。
藤沢周平などを読んで、カルト=マインドコントロールで、違法行為をする宗教になりうると認識して欲しい。
アイデンティティが出来てない人、絶対的なものを求める人がカルトにハマってしまう。何の為に生きるのかを自分自身で考えて欲しい。
西田先生:本を読んで欲しいとは言ったが、間違った文献も沢山ある。
賞をとったからといって安易に読んで信じ ない方がいいかもしれない。ちゃんと取材して見て来た本じゃないと。
高橋さん:事件から5年後、記者会見でメディア批判をしたことがある。3/20に、地方メディアから電話取材があった。私は、オウムに電話で嫌がらせを受けたことがあるし、プライバシーのことで怖かったから、取材に応じなかっ た。
そのことを記者会見で言ったら「しーん」となった。
そして、後で親しくしていた記者から「あんな所であんな事 いっちゃだめだよ。今の報道が小さくなるから。」と言われた。…今の発言で今日の報道も小さくなるかも(笑)
やっ ぱり、決まりきった被害者が出て来るのは気分が悪い。私は、代表世話人としてのコメントしか出来ない。
事件の風化防止をしたいが、イベントがないとニュースにしてもらえない。
努力をしてきたが、やはりメディアは何か出来事や 関心事が無いと来ない。
櫻井教授:アレフとひかりの輪への対応はどうすればいいでしょうか。
滝本弁護士:SNSやヨーガのダミーサークルから新しい信者が誘導されてしまう。
そして事件はでっちあげだったとか、陰謀論を教えられる。そういう人たちは半分は辞めてくる。
「自分で情報を取捨選択すべき。」と思う。
小さい頃から自分で選択させるとか大切。親がレールをひいてた事例が結構ある。「自分でやる」こと。また、教育にも問題がある。
団体規制法は、関西でアレフが偽りを報告していた。
破防法は、相手が見えなくなるため反対した。
また「一人オウム」も危険である。
西田先生:とても難しい。一般人が偏見で見ないこと。オウムを敵のように見ている人が多い。個人として見れば、 特別な人ではない。目線を同じにしてみること。
また向こうは自分たちを聖者という風に見ている。
たとえば、最近話題になったDJポリスがなぜ受けたかというと、集団心理に起因する。
一人一人をきちんと見ること が大切。
櫻井教授:大学ではカルトの勧誘が後をたたない。カルト対策を大学で少しでもやりたいと思う。
高橋さん:私は遺族ですから、アレフやひかりの輪に対しては観察処分しかないと思っている。これからの人たち は周囲をまきこんで不幸にしないため、判断力をもっている人たちでいてほしい。 公安のHPから情報を見ているが、私にはそれしか出来ない。
上祐なんて言いたがりで、今も昔もメディアを使うのが上手だ。 公安のHPの情報を見て欲しい。
青沼さん:気づいたらカルトだったとき、どうしたらいいのか?受け皿になってよく知ってもらいたい。オウムが無くな る時、受け皿が必要になる。
滝本弁護士:今日放映した「虚像の神様」を本当によく見て欲しい。気軽に犯罪をやってるところを見て欲しい。悪意の殺人より、善意の殺人の方が恐ろしい。
これから分かりやすくオウム問題に対してやっていきたい。
新しいまんがを作るとか、幅広くやりたい。
櫻井教授:最後に西田先生、今日のまとめを。
西田先生:あの事件はなんだったのか…ということについて、
1.殺人、虐待、無差別テロを含む未曾有の事件であった
2.手段がVXやサリンなど戦争ですら禁じ手の武器 だった
3.目的としては宗教として人を救うためにやったのだ
…ということを知って欲しい。
また、目的→手段→結果の順に並べると、3→2→1となること。
なぜカルトがなくならないのか?それは、宗教、家族、社会が若者にとって欠けているから。 欠けているものをカルトに求めてしまう。 現実の社会を良くする努力をするべきで、その中で鬼っ子のように産まれて来るカルトを忘れてはいけない。 オウム事件は負の遺産として伝えていくべきである。
了
こういう社会運動をしている方々は、ひかりの輪にもっと関わって来てほしい。そして、中身を知ってから相談に乗ってほしい。どんどんこっちに来てほしい。
返信削除私は精神科にかかっているけれども、病院は薬はくれても脱洗脳はしてくれない。社会復帰プログラムはあるけれども、カルト脱出の人と、一般の精神疾患の人とは違うと思う。私は、入院したとき一般の精神疾患の人といっしょにいても、「私は普通の人と違って罪が深いから、生きていていいのか、治療して幸福になってもいいのか?」と、余計に死にたくなるばかりだった。。。
なんか、カルト研究してる方々も、想像ばっかりして、事実を知らないで、助けてくれない。ほんとうは私も早く家に帰って自立できるようになりたいのに。。もう、動くのもしんどい。。
今は元気がなくて就労ができないけれども、将来的にもしできるなら、つぐないとして、自分の経験を生かしてカルト脱出に協力する活動がしたい。または仏教の勉強をしてお坊さんになって、刑務所や更正施設で個人的に話をしたりする活動がしたいと思います。
返信削除いきなりたくさん書き込んでごめんなさい。ついついこういう行動をしてしまいます。。
返信削除脱洗脳はしたけどその後の精神不安定から回復していないんですね。
オウムの人から連れ戻される悪夢をよく見ます。理由のない恐怖とかもあり、、
ひかりの輪ではそっとしていてくれますが、専門のカウンセリングがあるのならば受けたいですね。
さくらねこさん
削除コメント気づくの遅くてごめんなさい。
お辛い気持ちをぶつけてくださって、ありがとうございます。
私は、ひかりの輪やアレフの信者の方だからといって、差別や糾弾する気持ちは全くありません。
ただ、真実、情報開示を目的としているつもりです。
さくらさんは、なにか苦しみのループに入ってしまっているように思います。
滝本弁護士や、永岡さん(ご夫妻でも息子さんでも)に連絡はされたことありますか。
私の知る限り、彼らは信者の方にも元信者の方にも、とても優しくアドバイスされます。
私が感じる限り、さくらさんは破壊的カルトからうまく脱却できずに、苦しんでみえるようです。悪夢を見るなどは、典型例に思います。
さくらさんのお辛い気持ちが、少しでもはやく和らぎますように。
よろしければ、メールをください。
akaneyamada0322@gmail.comです。