2018年6月14日木曜日

「虹の階梯」ラマ・ケツン・サンポ+中沢新一

死刑囚の宮前一明さんが「虹の階梯」を下さったので読み進めている。

(1981年7月 第1刷/1995年10月 新装版第20刷発行とされるもの)

この本は、中沢新一氏がチベットの高僧であるラマ・ケツン・サンポに口頭で教えられた話が元に書かれた。

私は宗教がサッパリわからない人なので、読むのに時間がかかる。

オウム真理教の麻原彰晃が元ネタにしたと言われているこの本、いたるところにオウムの教義っぽい言葉や世界観が散見された。




P.279ページから「ポワ」の思想についての話が始まる。

ポワ(ポア)という言葉は、オウム真理教の一連の事件で「麻原の言う殺人はポワだからいいことなんだよ」みたいに使われていて、さんざん色んなネタにされている言葉だ。




「虹の階梯」p.280によると

「ポワ(’pho-ba)は、たとえいつ死が訪れても動ずることなく、確実に心(意識)を身体からぬきだして、より高い状態へと移し替えるための身体技法であり、チベットでは密教業者ばかりではなく、一般の人々にも広く学ばれてきたものである。」とされ、「意識を転移するポワには、大きく分けて五つの種類がある」と説明が続く。




オウムを信じている人もよくこういったことを言う印象がある。だからポワは良いことなのだと。イコール殺人ではないと。

ただ実際イコール殺人で使われたのだから、批判されるべきだと思う。




五つのポワの説明を読んでいくと、p.282からの「死者のポワ」の説明で「人の臨終まぎわ、または死者の意識がバルドにある間、瞑想にたくみでバルドの状態にもよくつうじている密教業者が、死者の意識を追いかけ、つかまえて、悪い生存の状態におちこまないようにするポワである。」と続く。




これが麻原を信じている人がよく言うポワのやつかなーと思う。




だがしかし、裁判記録や元信者の証言によると、例えば最初の事件の真島照之さんが亡くなった事件では、真島さんの顔を水につけた後動かなくなり、麻原に報告すると「四大元素の分解が始まっている」みたいなことを言って自分の指示で亡くなったことをごまかした。ちなみに人が死を迎えたときに、四つの物質界のエレメントに分解されていくといった話は「虹の階梯」p.286が元になっていると思われる。

さらに、坂本弁護士一家殺害後、実行犯達が麻原に報告に行ったら、坂本弁護士一家の転生先について麻原は「………子供は動物。奥さんは………餓鬼。………本人は地獄だ」(リンク:松本智津夫 第25回公判 岡崎一明証人 検察官主尋問(97・2・13)http://www005.upp.so-net.ne.jp/satoko-kikin/saiban-25.html)と言ったという。




動物、餓鬼、地獄ともに三悪趣とされ、どう考えてもよくない転生先だ。

ポワされてないじゃん。

意識引き上げられてないじゃん。




実際、この麻原の言葉を聞いて端本悟さんはじめ、坂本弁護士一家を殺害すること=ポワ=良い転生を手伝った と思っていた実行犯一同はショックを受けたという。




「虹の階梯」のp.283に「『死者のポワ』を行ってくれる行者は、死者の運命を救おうという深い慈悲につきうごかされてやってくるような、すぐれた心の持ち主を選ぶ必要がある。まかりまちがって金儲けや名誉欲の下心がある行者などにひっかかると、ポワを受けた死者はかえってひどい運命をたどることになってしまう。」とある。




麻原、完全に後者の方じゃん。ポワ=良い殺人と解釈してしかも人に犯行させるという、まかりまちがっている方のやつ。




本当に騙された人たちが気の毒でならない。

この本では、繰り返し「間違ったグルについていくと大変なことになる」といったことが書かれている。修行者やチベット仏教に憧れた若者を巧みにとりこみ、テロ組織に改変し、今も至る所で影響を与えている麻原、ある意味すごいと思う。



そして、もうこういった痛ましい事件が二度と起こらないようにと思うばかりだ。


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