2016年2月5日金曜日

M野くんのダークオーラ

子供の頃のことを思い出したら、呼び水のようにするするとエピソードが出てきた。

M野くんは小学、中学、高校が一緒だった。
特に目立つこともなく、勉強もスポーツも普通、普通の男子という感じだった。
小学生のときまんがクラブが一緒だったけど、話をしたことはあまりなかった。

そんなM野くんは、高校生の時に変わった。
なぜだか知らないけど、成績がめきめき延びて、偏差値の高い某有名大学を志望した。
わたしたちの高校は、偏差値中くらいといったところで、そんな大学が狙えることが、それはそれはすごいことだった。放課後、先生とM野くん二人きりで授業していたシーンを覚えている。

それから、M野くんはうちの高校で、学年で唯一、現役で、偏差値の高い某有名大学に受かってしまった。田舎の無名な高校から、これはすごい、すごいなあと思った。一方わたしは、鬱が酷くなり受験は失敗、冴えない三流大学生になった。
大学一年生の初夏、友人の紹介で、たまたまM野くんの進学した有名大学のサークルに入った。こんな有名大学に通う学生たちは、みんなキラキラしてて意識高くて頭がいいんだろうと思ってたけど、実際に先輩たちの目はよどみきっていて、なんだか暗い本を暗い部室で貸借りしたりしていた。
ああ、ここはわたしにしっくりくるなあと、元来ネクラでどうしようもないわたしは、すぐにサークルに馴染んで、オタサーの姫と化し…てはいない、女子もいたしみんなで仲良く普通に過ごしていた。そして彼氏が出来た。

ある日、彼氏と鍋でもしけこもうと思い、二人で大学の近くのスーパーへ行った。
そこに、M野くんはいた。
買い物カゴを持って、食品を物色していた。
久しぶりに見るM野くんは、ものすごい暗いオーラを出していた。
暗い、暗い……小学生の時の無邪気さ、中学生の時の普通さ、高校生になってからの輝きはどこにもない。どうしてしまったんだろう、というくらい、目はよどみ、頬はこけ、服はよれよれ、猫背で、ダークオーラを纏っていた。

M野くんはわたしに気づいた。
「あ、久しぶりだね」
どちらからともなく、そんな声をかけた。
M野くんの目は、久しぶりの元クラスメイトに会えた嬉しさなどはどこにもなく、よどんだままだ。
「彼氏か?ハン、リア充め」
そんなことを思う余裕もなさそう。
でもわたしはM野くんと友達じゃないから話を聞くこともできないし、彼氏はM野くんのダークオーラにドン引きしている。逃げたい。あいさつもそこそこにスーパーを出た。

それから卒業するまで、大学内で何度か遭遇した覚えがあるけども、M野くんの輝きは戻らなかった。
今なら、連絡先を聞いたり、話を聞いたり、飲みに行ったりできるじゃないかと思う。
でも、あの頃のわたしには、そんな余裕は無かったのだと思う。
M野くんに元気でいて欲しいと思う。

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